受け継がれた
そのレーシングスピリット

モータースポーツにおいて
数々の歴史を創ってきたルノー・スポール。
その名を冠する最後のモデル、
メガーヌ R.S. ウルティムが登場。
ルノー・スポールの挑戦と情熱の
集大成と言える
最後のモデルに
受け継がれてきた
レーシングスピリットを振り返る。

Chapter.1革新と挑戦に彩られた
栄光の日々

ルノー・スポールのレーシングスピリットはその歴史とともにある。ルノー創業翌年からレースに参戦するなど、常にサーキットやラリーでの活躍とともに躍進を遂げてきた100年以上に及ぶ足跡を振り返る。

Innovation &
Challenge

Chapter.2ルノー・スポールに
情熱を注いできた人々

情熱的な挑戦の歴史の中で紡がれてきたルノー・スポールのレーシングスピリット。ルノー・スポールが生み出してきたモデルは、魂と高い技術を継承するテストドライバーやエンジニアによりクルマとして具現化してきた。

Interview

驚異の走りと
快適な日常使い。
この二律背反の両立が
R.S. モデルの真髄。
トロフィーの要件をも満たしたシャシーカップの完成度

ルノー・スポール(以下 RS)でテストドライバーを務めるロラン・ウルゴンは、先代から二世代にわたるメガーヌRSの開発(と、同車によるニュルブルクリンクでの全タイムアタック)を担当してきた。メガーヌRSに新たに追加されたトロフィーと、聖地ニュルブルクリンク北コースで量産FF最速の称号を奪還した限定モデルのトロフィーRは、ともに彼の仕事である。
「トロフィーはメガーヌRSで最も多用途なスポーツカーです。シャシーカップをベースとしながら専用の300㎰エンジンを搭載して、よりサーキット向けの位置付けですが、公道での乗り心地にも配慮しています。現在のRSにおけるフラッグシップということになります」
今回のメガーヌRSトロフィーのシャシーはウルゴンも言うようにシャシーカップと基本的に共通だという。そこにバイマテリアル・フロントブレーキや19インチタイヤなど本国ではオプションの装備を標準化した点がトロフィーの特徴なのだが、結果的には先に日本で限定販売されたカップとほぼ同じ内容でもある。
「トロフィーのシャシー内容を最初から決めていたわけではありません。現行メガーヌRSではまずシャシースポール(=日本での標準仕様)とカップを明確に差別化することを意図して開発しました。
その結果として、今のシャシーカップはサーキット走行でも十分使えるものになって、トロフィーでもエンジンとタイヤのグレードアップだけで対応できたと理解してください。その前のルーテシアRSではスポールとカップの差が小さかったので、トロフィー化にあたってチューニングの余地があったのです」

サーキット志向のマシンでも快適性を確保するのがRS流

先ほどのウルゴンの言葉にもあるように、サーキット志向モデルであるトロフィーであっても、一般道での快適性に配慮するのがRSの流儀である。
「トロフィーRを例外として、メガーヌRSの開発では6〜7割の比率をオープンロードで行ないました。細かく言うとスポールが7割、カップ/トロフィーが6割です。この比率は開発前の仕様書段階で基本的に決めます。いずれにしろ、日常域でも使えるスポーツカーがRSのコンセプトですから」
というわけでトロフィーのシャシーは、結果的にシャシーカップのフルオプション仕様と言える内容になっている。 だが、実際の走りに多大な影響を与える変更点も見られる。デュアルクラッチの6速EDCにもトルセンLSD(6速MTはカップでもトルセンLSDが標準装備)を備えるのが、トロフィーのドライブトレインの大きな特徴だ。 「サーキットでの走行が頻繁ではないと想定するシャシースポールでは、日常の使い勝手に優れるRSデフ(電子制御トルク配分システム)で十分と判断しました。ただ、出力が300㎰になり、サーキット志向を強めたトロフィーでは、やはりトルセンLSDは不可欠でした。
そのトルセンLSDですが、MTとEDCでトルクバイアスレシオも微妙に違います。というのも、両者で最大トルクが異なりますし、また変速スピードも大幅に差があるからです。EDCはMTより20㎏ほど重いですが、最大トルクは20Nm大きく、トルセンLSDも専用セッティングにできたことで、サーキットでの純粋なパフォーマンスはEDCの方が高いと言えます」
ウルゴンは19年2月のカップ限定車の発売時にもインタビューしているが、そのときは「シャシーカップではコースや状況によってMTとEDCの優劣は変わります」と語っていた。
「対するトロフィーはどのサーキットでもEDCの方がラップタイムは速いです。ただ、同じコースでも周回を重ねるごとに20㎏の重量差が効いてきます。タイヤやブレーキへの負担はEDCの方が大きいのは事実なので、周回数が増えるにつれて、MTとのタイム差が縮まり、周回数によっては最終的にMTが上回ることもあるでしょう。ただ、一発のラップタイムは変速スピードが速いEDCが明らかに上です」

走りを極めたRSモデルにはトップガンの意見が随所に

ウルゴンが直接担当する開発分野はシャシー部分である。エンジンやその他の装備品の開発は別部隊が責任をもって行なっている。
「例えば、エンジンサウンドについては私に責任があるわけではありません。ただ、開発初期段階で実際にドライブするのはほぼ私だけ(笑)なので、当然ながら意見は聞かれます。今回は新しいアクティブバルブ付きスポーツエキゾーストが装備されたので、どういう場面でどういう音が欲しいのかは私も意見を出しました。最終的なサウンドマッピングは私も満足のいくもので、高速巡行ではほどほど静かで、本当に必要なときだけスポーツカーサウンドが楽しめるようになっています。
アルカンタラを使ったステアリングホイールやレカロシートについても同様で、これらの部分は試作品もないデザイン段階から私も意見を出しています。ステアリングなら直径からグリップの素材、太さ、形状、握り心地、剛性に至るまで細かく意見を出します。シートも同じで、私たち開発ドライバーの意見は実際にもかなり反映されています。 こうした部分は私が最終的な決断を下すわけではありませんが、どんな細かい改良についても、開発のすべてのマイルストーンごとに私も呼ばれて、意見を求められます」

(文中敬称略)

モーターファン別冊インポートシリーズ Vol.70
ルノー・メガーヌ R.S. トロフィーのすべて(2020年2月23日発行)より抜粋

PASSION

Chapter.3サーキット
パフォーマンスと
ライディング
コンフォートの両立

世界のエンスージアストに支持されるメガーヌR.S.は、オープンロードでの乗り心地も妥協しない。
サーキットパフォーマンスを突き詰めながら、歴代モデルの中でも圧倒的にしなやかな走りを実現した現行メガーヌR.S.の開発思想とテクノロジーを紐解く。

MEGANE R.S
Riding Comfort

Chapter.4伝説のモデル
ラインアップ

ルノー・スポールが特異な点は、単に市販車にスポーツチューンを施しただけのスポーツモデルではなく、市販モデルをベースにレースの現場で鍛え上げられた技術を反映し、スポーツカーを一から作り上げるところにある。そのレーシングスピリットを注いで作り上げられた伝説のスポーツモデルたちを振り返る。

LINE UP

Chapter.5ニュルブルクリンク
最速記録のその瞬間

ルノー・スポールが生み出してきた栄光の瞬間。中でも特筆すべきは、あらゆるスポーツモデルが厳しい環境の中で性能と速さを競うドイツニュルブルクリンクサーキット北コースにおいて、メガーヌ R.S.が4度にわたり塗り替えてきたFF車最速記録である。これは脈々と受け継がれてきたルノー・スポールのレーシングスピリットが掴み取った栄光の一つであると言えるだろう。

*2019年4月5日、ニュルブルクリンク北コースにおいて、メガーヌR.S. トロフィー Rが量産FF車最速となる7分40秒100を記録。

MOVIE

受け継がれてきた
レーシングスピリットの集大成。
ルノー・スポールの名を宿す最後のモデル、

MEGANE R.S. ULTIME

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SPECIAL CONTENTS

  • 【藤トモCHECK:試乗レポート】
    メガーヌR.S.ウルティムで卒業旅行に行ってきました。driver channel

  • メガーヌR.S.ウルティムを一般道で乗ったら
    「即購入」レベルの楽しさ!WEB CARTOP

  • R.S.Ultimate Day Reportウナ丼_STRUT_エンスーCARガイド