2019.02.01

RENAULT PRESSE #84 Column:一輪のバラを贈る特別な日


  • Renault Presse #084, FEBRUARY 2019 
    Photo & Words by Tonomariko Illustration by Toshiyuki Hirano


  • 一輪のバラを贈る特別な日

  • フランスのバレンタインは日本とまったく異なる風景。
  • 街のお花屋さんにはパリジャンたちが行列をなし、
  • さりげなく花を手にパリの街を歩いている。
  •  2月14日のバレンタインデー。パリで最も大忙しなのは「ショコラティエ」、チョコレート屋さんではなく「フローリスト」、お花屋さんです。当日は赤、ピンク、紫とさまざまな色のバラを中心に、どの店もいつになく美しい花が山盛りに。そしてその花を買い求めるのはパリジャンたちで、仕事帰りの時間になると花屋の店先にはムッシューたちの行列ができる日なのです。

     パリのバレンタインは日本とは真逆です。女性から男性にプレゼントするのではなく、男性から大切な女性にプレゼントを贈ります。そして、とにもかくにも大切な女性へのプレゼントは『花』というのがパリ風なのです。

  •  この日は街を歩けばバラを一輪持って歩くパリジャンとすれ違い、メトロに乗ればバラを一輪持ってドアに寄りかかるパリジャンを見かけます。また、パリのレストランで食事をしているとバラ売りの男性が入ってきて各テーブルをまわることがありますが、このバレンタインの日にはそんなバラ売りからバラを一輪買って目の前にいる女性にプレゼントする光景もよく見かけます。

     老いも若きも、男性たちがさりげなく当たり前のように花屋に行列をなし、プレゼントの花を持ってさっそうと歩く姿を見ると「なんてナチュラルでかっこいいのだ!」と毎年羨ましくなってしまいます。

     ちなみに、「バラを一輪」という表現をしましたが、パリジャンたちがプレゼント用に持って歩いているのは大きなブーケというよりは一輪だけの花やごくごく小さなブーケが多いのです。この頑張りすぎないさりげない感じがさらにナチュラルなスマートさを感じるポイント。今年のバレンタインは大切な恋人や家族にバラを一輪プレゼントしてみるのはどうでしょう。

 


  • とのまりこ さん
    パリを拠点にするフォトエッセイスト / ヘアメイク。愛犬バブーとの日常を綴ったブログ「パリときどきバブー」が大人気。西荻窪にフランス雑貨&蚤の市雑貨を扱うショップも経営。


※掲載情報は2019年2月時点のものです。

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