2016.04.01

愛車とオーナー、それぞれの個性を引き出すシートカバー

  • ルノーの人気アクセサリーを支えるのは50年の歴史に裏付けられた、確かな手仕事。上質なインテリアのコーディネートを提案するCABANA、そのデザインとクラフトマンシップの真髄に迫る。

  • ものづくりのポイントは3つのキーワード

    ルノーファンの皆さんには説明不要かもしれないが、CABANA(カバナ)という名前を耳にしたことはないだろうか。CABANAとはルノーの純正アクセサリーとして、シートカバー、クッションやティッシュケースを製作するメーカー。インテリアを中心としたアクセサリーは、愛車の個性を引き出したいルノーファンに厚い支持を集めている。その一つひとつが作られているのは、佐賀県武雄市にあるショールーム併設の九州工場。今回はCABANAの核となる場所を訪れ、ものづくりの最前線をご紹介したいと思う。

  • CABANA九州工場は鮮やかなブルーと随所に用いられたレンガの外観が目印。1階はショールームとピット・ガレージ、2階が工房・企画・開発室と分かれており、この工房を中心に、先に挙げたルノーの純正アクセサリーを含めた商品が製造されている。

    工房に足を踏み入れると、沢山のミシンがずらりと並ぶ壮観な景色が目に飛び込む。

    CABANAブランドのものづくりのポイントは「縫製」「裁断」「装着」といった3つのキーワードに凝縮されている。商品の製造工程を説明すると、まずは純正シートを正確に自社で型取りしスキャニング。次は純正シートを型取りしたものを正確にパターン化し、自社で最新のレーザー裁断機を使用して裁断。カットされた生地は縫製の現場でミシンを用いて丁寧に製品として仕上げられていく。検品後の商品はフィッティングテストを経て、最終的に梱包・出荷の準備へ。緻密に製作されるCABANAのシートカバー、その歴史とクラフトマンシップについて、統括本部長の田中克己さんは次のように語ってくれた。

    「CABANAの親会社は下着・インナーウェアの製造を50年以上手がけています。我々主導でブランドを展開できないかと模索していたときに、車のシートの形状と下着のパターンが類似していることに気付いたんです。それがCABANAの始まりですね(2008年)。糸と針を扱う仕事の基本はハンドメイドですから、作り手一人ひとりの技術力が商品にそのまま反映されます。クラフトマンシップという言葉のイメージから意外に感じるかもしれませんが、縫製現場は女性スタッフが担当しているんです」

    取材当日、縫製の現場では「ルノー カングー」のシートカバーが製作されていた。

    CABANAが製作担当しているカングーのシートカバーは、なんといっても豊富なカラーバリエーションが特徴的。シートのベース・アクセント・パイピング部分を高品質な16色のPVCレザーから選択でき、本革のパンチング(フロントシートのセンター部分に選択可能)も6色がラインナップされている。どちらも難燃性や汚れ防止などの機能を完備。ユーザー目線ではデザインが印象的だが、田中さんによると、たしかにデザインはアイキャッチになっているものの、製作上の最優先項目は別のところにあるという。

    「一番心がけているのは、その車の純正機能を損なわないことなんです。エアバッグ、シートベルト、リクライニングレバー、チャイルドシートなど、いろいろな機能がシート自体には備わっています。カングー特有の機能でいえば、運転席と助手席の背面に、カップホルダー付きのテーブルが付いているモデルもありますが、それらが問題なく使えるということを確保した上で、シートカバーのフィッティングと装着の容易性を徹底的に追及し、最後にデザインをチェックするという順番なんです。そういった優先順位がある前提で、車とオーナーの個性を出すためのお手伝いができればと考えています」

    縫製が終わった商品は検品部門へ。縫製は正しく行われているか、色ムラがないか、細かな付属品が付いているか、各部位のサイズは間違っていないかなど、シートの形状・デザインによってそのチェックポイントは異なるため、中にはOKかどうかの判断に迷うものもあり、検品は常にしっかり時間をかけて行われる。

  • 表現の可能性を広げた新作シートカバー

    シートカバーの製作に携わる立場から、チーフデザイナーの尾﨑園子さんはカングーの印象を次のように語ってくれた。

    「私たちがシートカバーを作っている車種の中でも、カングーほど遊び心のあるものはないですね。たとえばカングーが10台並んでいたら、同じ使い方をしているオーナーさんは一人としていないと思います」

  • 2016年4月16日(土)と17日(日)にかけて、全国のルノー・ディーラーでは「カングー マリン コレクション フェア」が開催される。フェア開催期間中に来店し、カングーをご成約いただいた方には、新たなデザインのCABANA製シートカバーがプレゼントされるが、その型取り・パターン作成・カラー&デザイン構成、および縫製ラインの監督を担当するのが尾﨑さんだ。このボーダーとストライプ、2種類のデザインをひとつのシートカバーにミックスしたのは、尾﨑さんにとってはじめての試みだったという。

    「縦横のデザインを入れたのははじめてですし、シートは曲線を帯びているものなので、最初はボーダーとストライプの再現が難しいかもしれないと感じましたね。私はイメージよりも行動することが先なので、ミシンを動かしていく中で完成図が見えてくるんです。ラフを描くのではなく、パターンを引きながら裁断してその場で縫いながら修正していくというか。心がけたのは太く可愛いデザイン。ここまで縫製で縦横のラインを作れることがわかったのは大きな発見でしたし、表現の可能性が広がりました」

    尾﨑さんが「自信作」と断言するマリンスタイルを表現した2種類のシートカバーは「カングーマリンコレクションキャンペーン」として、2016年6月30日までプレゼント期間が設けられる予定だ。是非このタイミングを機に、カングーオーナーになってみては。

  • CABANAのこれから

    50年に及ぶ歴史の中で進化させてきた縫製。その長きにわたり培ってきた技術はブランドの核であることは間違いないが、デザインモチーフを縫製パターンに委ねて表現する手法に依存してしまうと、デザインに限界が見えてきた。もっと表現の幅を拡張させたい。強い想いとともにスタートした新たな手法、デザイナーの大石吾郎さんによると、それはプリントだ。

    「昨年、CABANAにプリンター事業部が設立されました。このプリンター室には2種類の最新式大型プリンターと昇華転写プレス機、レーザーによる自動裁断機を導入して、これによって、ファブリック素材への昇華転写やラテックスインクによるレザーへのダイレクトプリント〜コーティング〜裁断〜縫製までを一貫した社内制作が可能になったんです。従来の縫製技術に社内プリント技術がプラスされたことによって、CABANAデザインの幅は一気に広がり、加速していくと思います。」

  • CABANAの今後の展開に注目していきたい。

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