2021.02.26
The Point of View:コンパクトSUVの枠を超えた“The French SUV.” 新型ルノー キャプチャー。
コンパクトSUVの枠を超えた“The French SUV.”
新型ルノー キャプチャー。
コンパクトSUVのルノー キャプチャーが2代目へと進化。
フランスや欧州のコンパクトSUV市場でベストセラー*1であり続けてきたルノー キャプチャーは、
新型もクルマづくりの王道を進む。
クラスを超えたパフォーマンス
新型ルノー キャプチャーが掲げる「The French SUV.」。直訳すれば「フランスのSUV」だ。このストレートな表現には確固たる理由がある。前身となった初代キャプチャーは、欧州およびフランスのコンパクトSUV市場において、ベストセラー*1となったからだ。新型キャプチャーは、そんな初代を進化・深化させた後継モデルである。
新型キャプチャーのドアを開けると、そこにはテクノロジーと伝統が同居する。スマートフォン用ミラーリング機能付き7インチ マルチメディアEASY LINKや各部を運転モードやアンビエントライト(車内照明)をカスタマイズできるルノー・マルチセンス、Bose®サウンドシステムといった先進テクノロジーを満載しながらも、身体が触れる部分には肌触りのいいソフトパッドが丁寧にあしらわれて、前席シートヒーターやステアリングヒーターといった人に優しい装備は標準で備わる。こうしたすべてが人間中心なのがルノーらしい。
フランス人にとってのクルマは、1年に1、2度の大切なバカンスのための移動手段であり、そこには高い機能性と質実剛健さも求められる。その意味では、新型キャプチャーはいかにもフランスらしいSUVだ。先代もクラストップレベルの居住空間や実用性で評価されたが、新型は全長を95mm伸ばしたことでさらに拡大。160mmのリアシートスライド機構は健在で、同じく定評のあったラゲッジ容量も536Lというクラストップの大容量を誇る。
クルマの心臓部となるパワートレインは、新型ルノー ルーテシアに続く、1.3Lターボエンジンとパドルシフト付きの電子制御7速AT(7EDC)を組み合わせる。154ps/270N・mという出力/トルクはかつての2.5L級エンジンに匹敵するもので、本来ならワンクラス上のCセグメントにこそ似合うレベルといっていい。市街地から高速道路まであらゆるシーンで、ダイナミックかつ余裕のある走りを実現する。
そんな強力なパワートレインに軽量・高剛性のCMF-Bプラットフォームを組み合わせた新型キャプチャーは、走りもまた全方位で飛躍的に進化している。街中でキビキビと活発であることはもちろんだが、エンジンの地力が試される高速追い越し加速の“ひと伸び”がなんとも頼もしい。そして、走り出して即座に気づく剛性感や静粛性も、ワンクラス上を思わせる。さらに、新型キャプチャーの走りで印象的なのは、速度が高まったり路面が荒れたりなど、コンディションが過酷になるほど、しなやかに懐が深い安心感が増すところだ。こうしたタフな味わいこそルノーの伝統である。
アクティブエマージェンシーブレーキやアダプティブクルーズコントロール、レーンキープアシスト、そして360°カメラといった先進運転支援システムも大きな話題である。これらも電子回路を隅々まで張りめぐらせた新開発のCMF-Bプラットフォームを採用したことで実現した。
このようにデジタル技術の粋を集めた先進安全運転支援システムに、ルノー伝統の人間中心の快適性や実用性、そして走りのタフネスを融合した新型キャプチャーは、疲れ知らずで、どこまでも走り続けたくなる。これはやはり、バカンスの国のSUVというほかない。「The French SUV.」は、フランスの、そして欧州の王道コンパクトSUVであろうとする新型キャプチャーの覚悟が込められている。
*1 自社調べ。
佐野弘宗 自動車ライター
1968年生まれ。カーマガジン編集部を経て独立。現在は週刊プレイボーイ(集英社)、エンジン(新潮社)、「○○のすべて」シリーズ(三栄)、webCG、オートカー・ジャパン、webスポルティーバ、carview!などで執筆中。