2021.02.22

新型ルノー キャプチャーは“小さなグランド・ツアラー”である

  • フルモデルチェンジした新型ルノー キャプチャーはデザイン、走行性能、居住性など全方位で進化した。
    乗れば乗るほど実感出来る“味わい深さ”に迫る。


    文・サトータケシ 写真・安井宏充(Weekend.)
    Produced by GQ JAPAN for Renault Japon



  • 老若男女、だれが乗っても似合う

  • ルノーの新型コンパクトSUV、キャプチャーを目の前にして、2021年というこの時代にふさわしいデザインであると思った。というのも、SUVといえば「男らしい」とか「マッチョ」という言葉で表現される、どこかゴツそうなデザインが主流だったのに、キャプチャーはそうではないからだ。

  • キャプチャーのパンと張った面の構成はアスリートの筋肉を思わせるが、それは「マッチョ」というよりも、贅肉のない爽快さを印象づける。いっぽうで、黒く塗られたルーフとボディカラーが2トーンになっているのがスタイリッシュだし、ボディ後方に向かってゆるやかにドロップしていくルーフ・ラインはエレガントだ。


  • 【主要諸元(インテンス・テックパック)】全長×全幅×全高=4230×1795×1590mm、ホイールベース2640mm、車両重量1310kg、乗車定員5名、エンジン1333cc直列4気筒DOHCターボ(154ps/5500rpm、270Nm/1800rpm)、7AT、駆動方式FWD、タイヤサイズ215/55R18、価格319万円(OP含まず)。



  • つまりキャプチャーは、「がっちりしているから男らしい」とか、「優美だから女性っぽい」とかの、旧来の「男性的」や「女性的」といったたぐいの表現とは、しっくりかみあわないスタイルをしているのである。「男性的」でも「女性的」でもない。そのどちらでもあり、どちらでもない。そこが、ジェンダーの揺らぐこの時代の気分にマッチしていると感じるのだ。ことばを換えれば、キャプチャーは老若男女、だれが乗っても似合うクルマ、ということだ。

  • また、派手なグリルでアピールするというような策を弄することなく、クルマ全体のデザインの統一感で勝負しているのも好ましい。その造型は、あたかも無垢の金属を削り出して得られたかのようにソリッドで彫刻的だ。カタマリ感が格好いい。


  • 215/55R18のタイヤはグッドイヤー製。駆動方式は前輪駆動(FWD)のみ。



  • ドライバーズ・シートに座って思うことはふたつ。

  • まず、水平基調のすっきりとしたデザインが、清々しい。同時に、宙に浮かんでいるようにも見えるセンターコンソールが、「この手があったか」と思わせるデザイン的なウィットを、フランス流にいうなら「エスプリ」を、感じさせる。さらに、樹脂パーツの色や艶がシック。


  • スマートフォンとの連携機能付きインフォテインメント・システムやステアリング・ヒーター、オートエアコン、スウィッチタイプのパーキングブレーキなど快適装備は豊富だ。





  • インパネ上部の7インチ・モニターは全車標準。Apple CarPlayやAndroid Autoにも対応するので、内蔵するGoogle Mapなどを画面上に表示出来る。





  • インテンス・テックパックのシート表皮はレザー。運転席は6Wayの電動調整式になる。



  • また、ナビや空調を司る液晶パネルやインストゥルメントパネルがドライバーに向かってオフセットしているので、ドライバーズ・シートの住人は、計器類に囲まれたパイロットであるかのような高揚した気分になる。クルマ好きにはうれしいポイントだ。

  • 走り出すと、ステアリングや操作類の各種スイッチの触感がしっとりとして心地よい。そこには人間の感覚をリスペクトするやさしくソフトなタッチとテクスチュアがある。人間を大事にしているなあ、と感じるのだ。こういう柔らかさは、座り心地もふくめたルノーの伝統だと思う。


  • メーターは視認性に優れる7インチの液晶パネル。表示パターンは複数から選べる。





  • ステアリング・ホイールは運転支援系のスウィッチ付き。その裏にはオーディオ・コントローラーも備わる。




  • しっとりとした乗り心地

  • コンパクトなSUVではあるけれど、タウン・スピードで感じるのは、ほとんど重厚といいたくなるほどの、しっとりとした湿り気のある、落ち着いた乗り心地だ。基本骨格をおなじくするルーテシアよりも155mm長いボディを持ち、より多くの人間と荷物を積んで遠くへ出かけるSUVらしい使い方に供されるクルマだけに、よりタフに仕立てられていると考えてよく、そのため100kgあまり車重が増えたことが、乗り心地の重厚さにも寄与している。


  • 搭載するエンジンは1333cc直列4気筒DOHCターボ(154ps/5500rpm、270Nm/1800rpm)。WLTCモード燃費は17.0km/Lで、最小回転半径は5.4m。



  • 高速道路に入っても、しっとりとした乗り心地は変わらず、しかも、速度を上げるにつれ、姿勢のフラット感が増していく美点が際立ってくる。高速道路でフラットな姿勢を保つクルマというのは本当に気持ちがいいもので、不様な揺れがないから目線を一定に保つことができる。4輪のサスペンションそれぞれが自在に伸び縮みしながら車体をフラットな姿勢に支えている。これぞ、ルノーだ。
    むろん、直進性は抜群にいい。バカンスの季節に荷物を満載してオートルートを何百キロメートルも走るフランス人家族さながらの使い方をしても楽しいだろうし、ドライバーの疲労も少ないだろう。小さなグランド・ツアラーなのだ。


  • 運転モードは3種類、My Sense/Sport/Ecoから選べる。個別設定出来るMy Senseでは、エンジンの出力特性や7ATの変速特性、電動パワーステアリングのアシスト力などを任意で調整出来る。



  • さらにもうひとつ。ステアリング・フィールがいい。タイヤがどの方向を向いているかはもちろん、路面がどんな感じか、ということまでが、それこそ手でさわっているかのようにくっきりと伝わってくる。だから、追い越したあとすぐに走行車線に戻るレーンチェンジをすることが楽しくさえある。

  • 高速道路をゆったりとした巡航しているときに感じるのはエンジンの力強さだ。ルノーと日産、そして三菱の3社が共同で開発した1.3リッターのガソリン直噴ターボエンジンは、余裕があるというレベルを超えてパワフルで速い。アクセルペダルを踏み込むと、軽量コンパクトなボディは予想の3割増しぐらいの勢いで加速する。


  • デュアルクラッチタイプの7ATのギアセレクターは、シフト・バイ・ワイヤー技術を使った「e-シフター」。パーキングブレーキはスウィッチタイプだ。



  • 基本的にはルーテシアに積まれるエンジンと共通であるけれど、SUVに適したチューンが施されており、最高出力も最大トルクも強化されている。乗り心地のチューンも含めて、ルーテシアのたんなる“着せ替えSUV”ではない。

  • 新開発のデュアルクラッチ式7速ATは、変速したことに気づかないくらいスムーズに、かつ素早くギアを変える。アクセルペダルを操作してスピードをコントロールする行為それ自体が楽しいので、高速道路でのクルーズが少しも退屈じゃない。

  • 都心から約100kmの、本日の経由地である御殿場にはあっという間に到着した。


  • 官能のSUV

  • 御殿場での目的は、フランス版ミシュランガイドでアジア人初の3つ星を獲得した小林圭シェフが御殿場に開いた「Maison KEI」に立ち寄ることだ。

  • フランス生まれのキャプチャーに乗って、パリの3つ星シェフが開いたレストランに行くのは、「フランスには行きたしと思えどもフランスはあまりに遠し」のいま、フランス旅行にもっとも近い体験といってもよいのではないか。料理も最高だった。


  • 「Maison KEI」は、パリの「Restaurant KEI」と和菓子屋「とらや」がはじめたフレンチレストランで、今年1月30日にオープンした。住所:〒412-0024静岡県御殿場市東山527-1、Tel:0550-81-2231、定休日:火曜日・水曜日。





  • 「Maison KEI」では、パリの「Restaurant KEI」のシグネチャーメニューの「庭園風 季節のサラダ」をこの店ならではのアレンジで供される。



  • 海辺を目指し、カーブが連続する山道を走る。

  • “無垢の金属を削り出したよう”に見えると形容したボディは、ワインディング・ロードでスポーツ・ドライビングに興じると、たくましい凝集感によって痛快なドライビングを助ける。加速、減速、旋回を繰り返すと、その人車一体感にほれぼれする。全高1600mmに近いやや背の高いクルマであるにもかかわらず、ステアリング・ホイールを切った後に上屋が遅れてグラっと傾くようなことがない。タイヤから屋根までが一体となって動く。


  • プラットフォームは、ルノー・日産・三菱のアライアンスによって開発された「CMF-B」だ。



  • 乗り心地は、ワインディング・ロードでもあいかわらずいい。サスペンションがしっかりと動いている。コーナーの入口でステアリング・ホイールを切り込むと、ごく自然な感覚で車体がじんわりとロールし、外輪に荷重をしっかりかけて、路面をがっちりと、そしてしなやかに掴んで、コーナーをクリアする。速いとか遅いとかではなく、心地よいコーナリングだ。


  • ヘッドランプはフルLED。ルーテシアにも採用された「C」をモチーフにしたデイタイムランプも備わる。



  • 美しい海を背景に写真を撮りながら、後席や荷室の広さをチェック。資料によれば、このクラスのSUVとしてはいずれも最大級とのことだけれど、たしかに広い。後ろの席は身長180cmの筆者でも余裕を持って座れるし、簡単な操作で後席を倒すと荷室はさらに拡大する。

  • バカンスのシーズンに、家族や仲間と荷物を満載して、こんな海に行くのが似合うクルマだ。


  • リアシートは前後に最大160mmスライドする。





  • リアシート用のエアコン吹き出し口やUSB(2個)/電源ソケット付き。





  • ラゲッジルーム容量は通常時536リッター。リアシートのバックレストは60:40の分割可倒式で、すべてを倒すと容量は1235リッターになる。



  • 帰路の高速では、運転支援装置を試す。

  • 前を行くクルマに付いて行く機能(アダプティブ・クルーズ・コントロール)は、一度停まっても自動で追随して再発進するから、渋滞での疲労やストレスを減じてくれる。車線を維持する機能も効果的に働く。本来の直進性のよさとあわせて、まさに鬼に金棒だ。

  • 運転支援装置を試しながら感じるのは、インターフェイスの使い勝手がいいことだ。追従する機能は直感で操作できるし、ハンドル操作をアシストする車線維持機能も、わずらわしいとは感じない。ちょうどいい塩梅で介入する。

  • 先進的な機能であるけれど、人間の感性に寄り添ったチューニングが施されている。


  • インテンス・テックパックに搭載される「ハイウェイ&トラフィックジャムアシスト」は高速道路などを走行するとき、ドライバーをサポートする。アダプティブ・クルーズ・コントロール(ストップ&ゴー機能付)とレーン・センタリング・アシストを組み合わせ、車線の維持、速度、先行車との間隔を統合制御する。





  • 360°カメラは全車標準。



  • 新型ルノー キャプチャーは、目で楽しむデザイン、内装素材の触感のよさ、手に伝わるステアリング・フィール、コーナーでの滑らかなロールなどなど、すべてが人の五感にやさしく訴えかけてくる。官能のSUVなのである。

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